プラスチックフィルムとはどのようなものか?

最終更新日 2024年5月14日 by carret

プラスチックフィルムとは、厚さ0.2mm以下の薄く軟質製の製品こととされています。
厚さが0.2mm以上になるとプラスチックシートと定義されますが、実際にはフィルムとシートには明確な区分はありません。
この厚さによる基準は総務省の「プラスチックのフィルム・シート・床材・合成皮革製造業」に基づいたものですが、JIS(日本工業規格)の規格は総務省とは異なっています。

 

プラスチックフィルムの歴史

プラスチックフィルムが広く用いられるようになったのは、昭和40年代以降です。
耐水性・強度にすぐれていたために、防水材料や雨具、包装材料として、さまざまな場面で用いられるようになりました。
それまではセルロースを原料としたセロハンが活用されていましたが、プラスチックは一気に広がっていき、昭和50年代になるとセロハンの需要を上回るほどに普及しました。
その後、いろいろな種類の合成樹脂から特徴のある製品がつくられるようになり、使用目的も広がり、現在も多種多様な進化を続けています。

樹脂プラスチック材料協会によると、プラスチックフィルムはさまざまな視点(性質・原料・製造方法など)で分類することが可能です。
もっとも一般的な分類方法とされているのは、「熱」に対する性質によるものです。
「熱」を基準にした分類は、私たちにとってもわかりやすい方法といえます。
では、具体的には「熱」によってどのような性質の違いがあるのでしょうか。

 

「熱」でプラスチックフィルムを分類した場合

「熱」でプラスチックフィルムを分類した場合、大きく「熱可塑性プラスチック」と「熱硬化性プラスチック」の2つに分類できます。
「熱可塑性プラスチック」は加熱したり冷却したりすることで形状を変えられる性質をもっています。
対して「熱硬化性プラスチック」は二度と形状が変わらない性質です。
一度固まってしまうと、もう一度加熱しても柔らかくなることはありません。

私たちの日常では、「熱可塑性プラスチック」が使われています。
それに対して、特異な性質をもった「熱硬化性プラスチック」は、太陽電池や電子機器、宇宙産業などといった特殊な場面で利用されています。

「熱可塑性プラスチック」は、さらに「汎用プラスチック」と「エンプラ(エンジニアリングプラスチック)」の2種類に分けられます。

「汎用プラスチック」はプラスチックフィルムの8割程度を占め、生活用品や工業製品などに大量に使われます。
「汎用プラスチック」は非常に加工しやすく耐熱性能が100℃程度というのが特徴で、さらに安価で大量生産できるのも魅力です。

「汎用プラスチック」は、さらにポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP/OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン(PS/OPS)フィルム、アクリル(AC)などに分類されています。

それぞれの特徴と用途を簡単に紹介します。

 

汎用プラスチックの種類

ポリエチレンは柔らかく、成形がしやすいのが特徴で、ラップやレジ袋などの包装材料、シャンプーの容器などに使われています。
ポリプロピレンはPPとOPPの2種類ありますが、一般的にはOPPを利用することが多く、食品用の容器、自動車や家電の部品、トレイ、ペットボトルのキャップなどの利用が有名です。
ポリエチレンテレフタレートはフィルムの性能が高いとされており、衣類素材のポリエステルや食品用包装フィルム、ペットボトルなどに活用されます。
ポリエチレンナフタレートは最近注目を集めている素材で、学校給食や病院食用の食器などの加工で知られています。
塩化ビニル樹脂は硬質で水に沈むのが特徴で、ビニールハウスや住宅用資材などの素材として使われることが多いです。
ポリスチレンフィルムは透明性、光沢性、透過性などに優れており、ペットボトルのラベルやテープ、封筒窓、ラミネート、お弁当容器のふたなどに用いられています。
アクリルはガラスに近い特性があり、コンタクトレンズや水槽などで利用されています。

 

社会的には使用後の再利用が大きな課題になっている

いかがでしょうか。
一口にプラスチックフィルムといっても、これだけさまざまな種類があります。

プラスチックは非常に便利な素材ですが、社会的には使用後の再利用が大きな課題となっています。
現在、資源として収集された廃プラスチックは、「マテリアルリサイクル(プラスチック製品に再生する)」「ケミカルリサイクル(分解して化学原料に再生する)」「サーマルリサイクル(焼却して熱エネルギーを回収する)」という3つの手法でリサイクルされてます。

このようにプラスチックはテレビやラジオ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、自動車や電車などの車両関係や航空機、窓や浴槽、壁などの住宅建材、食品用包装やケースなど、非常に幅広い領域で使用され、私たちの生活の中では欠かせない存在です。

 

まとめ

プラスチックは、ギリシャ語の「プラステイコス」が語源で、「柔らかく容易にさまざまな形に変わる(可塑性がある)」という意味をもっています。
その語源のとおり、今後も柔軟に変化し、私たちの生活をさらに支え続けていくことでしょう。

 

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