邪気を払ってくれる縁起物の破魔弓

最終更新日 2024年5月14日 by carret

お正月になると初詣に出かけ、破魔矢を買い求めて自宅に飾るという人も多いのではないでしょうか。
その破魔矢と対になっているのが破魔弓で、日本では男の子の赤ちゃんが初めて迎えるお正月に破魔矢と破魔弓を贈るという風習があります「魔」を破るという漢字が使われているように、厄を祓う魔除けの役割を果たしてくれるといわれています。
邪気を祓う力があるので、昔から神事などでも用いられてきました。
家を新築した際に、鬼門に向けて弓矢を立てることもあります。

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破魔弓の由来

その由来はどこにあるのかというと、お正月に行われていた「射礼」という年占いです。
地域ごとに弓射を競う年占いで、一番勝った地域が豊作に恵まれるというものでした。
その射礼に使われた的のことをハマといっていたので、矢を「ハマヤ」と呼ぶようになります。
そして弓を「ハマユミ」と呼ぶようになったのです。
弓矢は日本の歴史の中で、とても大切なものでした。
縄文時代には狩猟や採集が行われており、弓矢によって大事な生活の糧を得ていたことになります。
自分達の食べ物を得るために必要な道具でした。
そのため弓矢は神聖なものとして扱われ、宮中儀礼などにも用いられるようになっています。
弓で的を射る射礼も、宮中で行われていた儀式の一つです。
射礼の元になっているのは中国の風習で、中国では端午の節句に鍾馗という武神が弓で悪霊を退治するという逸話があります。
それが日本に伝わり、弓を使った魔を打ち払う儀式となっていったのです。
宮中儀礼では、人々の健康や豊作を願いました。

赤ちゃんの初正月に破魔矢と破魔弓を贈る理由

赤ちゃんの初正月に破魔矢と破魔弓を贈るのは、赤ちゃんに健やかに育ってほしいとの願いからです。
武家社会において生まれた風習で、戦国時代になると多くの武将達が戦いの前に自分の弓矢などの防具を奉納したといわれています。
奉納した際に神社から模擬の弓矢をいただくので、それを家に飾ったのが始まりとされています。
当時、遠くにいる敵に向かって攻撃を仕掛ける弓矢は、合戦の道具として大切に扱われていました。
武士を象徴する道具でもあり、古来から神聖なものであったことから縁起物となったのです。
元々は武士の間で行われていた風習ですが、江戸時代に入ると庶民の間でも行われるようになりました。
それが現代にも根付いており、赤ちゃんの初正月にプレゼントするというご家庭も多いです。
ちなみに女の子の赤ちゃんが生まれた場合には、健やかな成長を願って羽子板を贈ります。
日本ではお正月はとても重要なもので、これは古くからある節句に大きく関係しています。
節句とは季節の変わり目を意味しており、日本では季節の変わり目に鬼が生まれると信じられてきました。
邪気が宿り、何か良くないことを招くのです。
邪気によって病を患ったり、思わぬ事故に巻き込まれたりすると考えられています。
そのため季節の変わり目には、邪気を追い払うための儀式が色々行われてきました。
「鬼は外」と言って邪気を払うのが節分ですが、実は旧暦だと節分は現在の12月31日にあたります。
お正月の1月1日が立春で、この日から新しい一年が始まります。
ですから一年の始まりの前に、邪気を払っておくことが重要でした。
そういったこともあり、お正月に破魔矢と破魔弓を飾る風習が残ったのかもしれません。

誰が破魔矢と破魔弓を贈るのか?

では、赤ちゃんの初正月に飾る場合誰が破魔矢と破魔弓を贈るのかというと、赤ちゃんの母親の実家から贈るのが一般的です。
しかし、最近ではあまり形式にこだわらなくなっているので、赤ちゃんの両親が用意することもありますし親戚から贈られることもあります。
住んでいる地域によっても風習が異なるので、両家で集まって派手なお祝いをするとこもあればあまり馴染みがないというご家庭もあるようです。
大切なのは赤ちゃんの健やかな成長を願うことになります。
それから弟が誕生した場合、それぞれに新しい物をプレゼントするのが望ましいとされています。
兄弟で1つでもいいのではないかと考えがちですが、破魔矢と破魔弓はその子に降りかかる災いを払ってくれるものなので1人に1つ用意するのが基本になります。
ではどこに飾るのがいいのでしょうか。
神棚がある場合には、そこに飾るのがおすすめです。
床の間や玄関なども飾っておくのに相応しい場所とされます。
最近では住宅事情などもあり、神棚がないというご家庭もあるでしょう。
その場合には目線より高い位置で、明るい場所に飾るのが良いとされます。
こまめに掃除をするなどして、清潔に保っておくことが重要です。
最近ではガラスケースに入っているものもあります。

まとめ

また、いつ飾るのがいいかというと、縁起物なのでいつ飾っても大丈夫です。
お正月に飾るものというイメージがありますが、一年中飾っても問題ありません。
ただし、12月29日に飾るのは「苦立て」と呼ばれて縁起が良くないとされています。
12月31日に飾るのも「一夜飾り」と言われて良くないとされているので、この日は避けた方が無難です。